音痴
生まれつき音程がとれない人は、100人に2〜4人ほど。
「自分は音痴」の大半は、そうではないことになります。
そして、そうであっても——この祭りには、関係ありません。
出典:Peretz & Vuvan (2017) European Journal of Human Genetics(カナダ・20,850人調査で1.5%)
くわしく
先天性アミュージア(音の高低の知覚が難しい体質)の割合。古い推計で約4%、大規模調査で1.5%。
歌と声について調べていたら、
びっくりする話が、たくさん出てきました。
ぜんぶ、本当の話です。
音痴
生まれつき音程がとれない人は、100人に2〜4人ほど。
「自分は音痴」の大半は、そうではないことになります。
そして、そうであっても——この祭りには、関係ありません。
出典:Peretz & Vuvan (2017) European Journal of Human Genetics(カナダ・20,850人調査で1.5%)
先天性アミュージア(音の高低の知覚が難しい体質)の割合。古い推計で約4%、大規模調査で1.5%。
どもり
どもる人も、歌うときは、どもらない。
出典:Andrews et al. (1982) Journal of Speech and Hearing Research(歌唱で吃音が90%以上減少)
数十年前から確認されている現象。ゆっくり息を吐き続けること、リズムがあることが関わっていると考えられています。
言葉
病気で話せなくなった人が、歌なら歌えることがあります。
この現象は、50年前から言葉のリハビリに使われています。
出典:Albert, Sparks & Helm (1973) Archives of Neurology(メロディック・イントネーション・セラピー)
脳卒中の失語症のリハビリ。メロディに乗せると言葉が出る——歌の脳は、話す脳とは別の場所にもあるようです。
青春の歌
アルツハイマー病が進んでも、青春の歌はおぼえている。
歌の記憶をあずかる脳の場所は、この病気に強いのだそうです。
出典:Jacobsen et al. (2015) Brain
ドイツの研究チームが、音楽の長期記憶を担う脳の領域を特定。そこはアルツハイマー病で萎縮しにくい場所と重なっていました。
子守唄
保育器の赤ちゃんは、親の子守唄で心拍が落ち着く。
272人の赤ちゃんで、確かめられました。
出典:Loewy et al. (2013) Pediatrics(米国11のNICU)
録音ではなく、生の声。心拍・呼吸・眠りが安定し、親のストレスも下がりました。
好きじゃなくても
「歌は別に好きじゃない」という人も、
歌ったあとは、ストレスホルモンが減っていました。
出典:斎藤一郎ら (2014) BioPsychoSocial Medicine(鶴見大学・第一興商の共同研究)
60歳以上44人の唾液を歌唱の前後で測定。歌が好きな人も、そうでない人も、コルチゾールが低下していました。
オペラ座
ロンドンのオペラ座は、病院と組んで「歌の教室」をひらいています。
コロナ後遺症の息苦しさのために。4,800人以上が修了しました。
出典:English National Opera「ENO Breathe」/Lancet Respiratory Medicine (2022) の比較試験で効果を確認
英国ナショナル・オペラと国民保健サービス(NHS)の連携。歌の呼吸法で、息切れと生活の質が改善しました。
おかあさん
赤ちゃんと一緒に歌ったお母さんは、
産後うつからの回復が早かった——という比較試験がイギリスにあります。
出典:Fancourt & Perkins (2018) British Journal of Psychiatry
歌のクラスと、遊びのクラスと、通常ケアの三群比較。回復が早かったのは、歌のクラスでした。
一時間の合唱
がんの患者さんと、支える家族が、1時間いっしょに合唱すると、
ストレスホルモンが下がっていました。
出典:Fancourt et al. (2016) ecancermedicalscience(英国・5つの合唱団193人)
気分の改善と、免疫に関わる物質の変化も観察されました(予備的な研究です)。
こえの治療
パーキンソン病のリハビリに、「大きな声を出す訓練」があります。
声を出すことが、そのまま治療になっています。
出典:LSVT LOUD/Ramig et al.、米国NIHの助成で25年以上研究
小さくなった声を取り戻す4週間の訓練。世界中の病院で使われています。
つながり
家族・友人・仲間。つながりの多い人は、認知症になりにくい。
日本の1万4千人を、10年追いかけた調査があります。
10月18日、つながりが、ひとつ増えます。
出典:Saito et al. (2018)/日本老年学的評価研究(JAGES)
5種類のつながりを持つ人は、1つ以下の人より発症リスクが46%低いという結果でした。
笑い
よく笑う高齢者は、認知症のリスクが低い——という日本の調査があります。
岩戸の前で、八百万の神々は笑いました。
出典:JAGES (2022) 報道発表(65歳以上12,165人・6年追跡)
笑う機会が多い人は、少ない人よりリスクがおよそ2.5割低いという結果。神話と研究が、同じことを言っています。
全人類
世界315の文化を調べたら、
子守唄と、癒しの歌は、どの民族にもありました。
出典:Mehr et al. (2019) Science(ハーバード大学「歌の自然史」プロジェクト)
踊りの歌、愛の歌も全文化に共通。歌は、人類の標準装備のようです。
始まりの祭
岩戸の前の出来事は、「日本で最初の祭り」と伝えられています。
開いたのは、聲でした。
出典:古事記(伝承)
鶏の声、祝詞、踊り、笑い声。あの夜にあったものは、ぜんぶ聲でした。歌舞音曲の原点は、ここにあります。
歌う革命
1988年、エストニア。歌の広場に30万人——国民の4人に1人が集まりました。
3年後、この国は、歌ったまま独立を回復します。
出典:歌う革命(1988–1991)/タリン歌謡祭の広場にて
銃を使わず、歌で。150年続く歌謡祭「ラウルピドゥ」の国の、本当にあった話です。
言霊
日本は「言霊の幸はふ国」——
声に出した言葉が、現実を動かす。
千三百年前の歌集に、そう詠まれています。
出典:万葉集 巻五・八九四(山上憶良)/巻十三・三二五四
「磯城島の大和の国は言霊の助くる国ぞ」。声に出すことそのものに力が宿る——日本最古の歌集の世界観です。
声字実相
声はそのまま、真理のすがた。
弘法大師・空海は、一冊まるごと「声」の本を書きました。
出典:空海『声字実相義』(九世紀)
声と文字は宇宙の実相そのものである、という真言密教の教え。声を出すことは、世界に触れることでした。
祝詞
罪もけがれも、声に出して祓う。
千年以上、神社で唱えられてきました。
出典:大祓詞/『延喜式』(九二七年)
書いて読むのではなく、声に出して奏上することに意味がある——それが祝詞です。
踊り念仏
鎌倉時代、人々は歌い踊りながら救われました。
声に出す念仏が、そのまま救いだったのです。
出典:一遍聖絵(一二九九年)
一遍上人の踊り念仏は、のちの盆踊りの源流のひとつと言われます。歌って踊って救われる——祭りの原型です。
妹の力
女性の歌声には、神を動かす力がある。
日本の民俗学は、そう記録してきました。
出典:柳田國男『妹の力』(一九四〇年)
巫女、ノロ、イタコ——神に声を届ける役は、多く女性でした。
おもろ
沖縄では、歌そのものが神でした。
千五百余りの神歌が、いまも残っています。
出典:おもろさうし(一五三一〜一六二三年編纂)
祝女(ノロ)が歌う「おもろ」は、神を招き、村を守る声。琉球王府が二十二巻に編みました。
ユカㇻ
アイヌの神々は、自ら歌って物語る。
神謡は、神の声を人の喉で響かせる器でした。
出典:知里幸恵『アイヌ神謡集』(一九二三年)
「銀の滴降る降るまわりに」。カムイユカㇻは、神が一人称で歌う叙事詩です。
歌垣
古代の男女は、歌を掛け合って恋をしました。
筑波山の歌垣は、風土記に残っています。
出典:常陸国風土記(八世紀)
歌で心を交わす行事は、いまも中国南部や東南アジアの山地に生きています。
はじまりの声
「光あれ」。
世界は、声から始まった——そう語る聖典があります。
出典:旧約聖書 創世記一章
ヨハネ福音書は「初めに言葉があった」と続けます。声が世界を創るという直観は、洋の東西を問いません。
オーム
宇宙の始まりの音は「オーム」。
インドの聖典は、その一音にすべてが宿ると説きました。
出典:マーンドゥーキヤ・ウパニシャッド
ヨーガや読経の前に唱えられる、あの音です。三千年、唱えられ続けています。
カレワラ
フィンランドの英雄は、剣ではなく歌で戦いました。
歌で舟を作り、歌で相手を沼に沈めます。
出典:カレワラ(フィンランド民族叙事詩)
老賢者ワイナモイネンの武器は声。国民的叙事詩の主人公が「歌い手」なのです。
ソングライン
オーストラリアの先住民は、大地を「歌で」歩きます。
祖先が歌って世界を創り、その歌が地図になりました。
出典:オーストラリア先住民の伝承(ソングライン)
歌の道筋をたどれば、砂漠を越えられる。歌が、土地の記憶そのものです。
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